こんにちは!
NOPPO MUSIC SCHOOLです!
ミュージカルを観ていると、
「普通に喋っていたと思ったら、いつの間にか歌になっていた!」
「踊りながら歌っているのに、どうしてあんなに声が安定しているんだろう?」
と驚いた経験はありませんか?
ミュージカルでは、歌唱力はもちろん、演技力や表現力、滑舌、身体の使い方など、さまざまな能力が求められます。
その中でも、歌を勉強している方にとって難しいのが、
「ミュージカルでは、どんな発声をすればいいの?」
という問題です。
実は、「ミュージカル発声」という一つの決まった発声方法が存在するわけではありません。
作品によってはクラシックに近い豊かな響きが求められることもあれば、ポップスのような地声感のある歌声が求められることもあります。
さらに、同じ作品の中でも役柄やシーンによって必要な声は変化します。
つまりミュージカルで重要なのは、一つの「いい声」を作ることではなく、役や作品、感情に合わせて自分の声を使い分けられるようになることなのです。
今回は、そんなミュージカルの発声について、詳しく解説していきます!
では、参りましょう!
ミュージカルではどんな発声が求められる?

まず覚えておきたいのが、
ミュージカル=大きく響く声で歌う
というわけではないことです。
もちろん、安定した声量や響きは重要です。
しかし、それ以上に大切なのが、
「その声によって、役の言葉や感情が観客へ伝わっているか」
ということです。
ミュージカルでは、歌も芝居の一部です。
そのため、どれだけ綺麗な高音を出せても、役柄や場面からかけ離れた声になってしまえば、そのシーンに適した歌唱とは言い切れません。
「歌声」ではなく「役の声」を作る
ポップスでは、「この歌手だから、この曲を聴きたい!」と思わせるような個性的な声が、大きな魅力になります。
一方、ミュージカルの場合は少し考え方が異なります。
たとえば、10代の明るく無邪気な登場人物と、何十年もの人生経験を積んだ威厳のある人物では、同じ声色で話したり歌ったりするとは限りません。
さらに、
「嬉しい」
「悲しい」
「怒っている」
「何かを隠している」
「相手を説得したい」
など、その瞬間の状況によっても声は変化します。
つまり、
「自分がどう歌いたいか」だけではなく、「この役ならどう声を出すのか」を考える必要がある
ということです。
そのためミュージカルでは、役や場面に応じて使い分けられることが大きな武器になります。
そもそも声はどうやって出ている?

ミュージカルの発声を練習する前に、簡単に声の基本的な仕組みを確認しておきましょう。
声を出すときは、大きく分けると、
呼吸 → 声帯の振動 → 共鳴 → 発音
という流れがあります。
肺から送り出された空気によって喉頭にある声帯が振動し、その音が喉や口などの空間を通ることで声として聞こえます。
さらに舌や唇、顎などを動かすことで、「あ」「か」「さ」といった言葉になっていきます。
つまり、私たちが普段何気なく行っている「話す」という行為にも、
呼吸 ↓ 発声 ↓ 共鳴 ↓ 発音
という複数の要素が関わっています。
ミュージカルでは、これを歌の中でも安定して行わなければなりません。
しかも、立ったまま歌えるだけではなく、芝居をしたり、歩いたり、場合によっては激しく踊ったりしながら声を出す必要があります。
そのため、単純に声量を大きくするのではなく、身体に余計な力を入れなくても声をコントロールできる状態を目指すことが重要です。
ミュージカル発声とポップス発声の違い
では、ミュージカルとポップスでは何が違うのでしょうか?
実際には、呼吸や声帯振動、共鳴といった発声の基本的な仕組みが別物になるわけではありません。
大きく異なるのは、「何を目的として、その声を使うのか」という部分です。
ポップスでは「自分の声」が個性になる
ポップスでは、歌手本人の歌い方が魅力になります。
息を多く含んだ声。
独特な母音。
語尾の抜き方。
しゃくりやビブラート。
突然ファルセットへ切り替える歌い方。
こうした特徴が、「この人の歌声だ!」と感じさせる個性になります。
そのため、普段の話し声と歌声が大きく違っていても、それ自体が問題になるとは限りません。
ミュージカルでは「役の声」が重要になる
一方でミュージカルの場合、俳優は役を演じています。
そのため、「自分ならどう歌うか」だけでなく、
「この人物なら、今この言葉をどう発するのか」
を考える必要があります。
もちろん、俳優自身の声の魅力を消す必要はありません。
しかし、自分の得意な声だけですべての役を演じようとすると、表現できる役柄が限定されてしまいます。
ミュージカルでは、声を自分の個性として使うだけでなく、役を表現するための道具としてコントロールする能力も重要になるのです。
ミュージカルでは「言葉」が重要
ミュージカルを練習するとき、音程ばかりに意識が向いてしまう方は少なくありません。
しかし、忘れてはいけないのが歌詞です。
ミュージカルの歌詞は、単に曲に乗せられた言葉ではなく、物語を進めたり、登場人物の気持ちを観客へ伝えたりする役割を持っています。
そのため、「何を言っているのか聞き取れない」という状態では、音程が正しくても物語が十分に伝わらない可能性があります。
ミュージカルの歌を歌ってみたい方は「ミュージカルコース」へ!お芝居と歌にはどんな関係がある?
ミュージカルを理解するうえで非常に重要なのが「お芝居と歌は別々のものではない」という考え方です。
登場人物がセリフを話していたのに、突然「はい、ここから歌唱です」と歌手のような声へ切り替わってしまうと、観客には芝居と歌が分離して聞こえることがあります。
ミュージカルでは、登場人物の感情が大きくなり、言葉だけでは表現しきれなくなったところから音楽へつながっていく場面があります。
イメージとしては、
芝居 → 感情の変化・高まり → 歌
です。
セリフから歌へ自然につなげる
たとえば、
「あなたに会いたい」
というセリフがあったとします。
最初は小さな声で独り言のように言っていた。
しかし、相手への想いが強くなる。
声が少し強くなる。
言葉の間が変化する。
そして音楽が始まり、歌になる。
このような流れであれば、歌が「別の表現」に切り替わったのではなく、芝居の感情がそのまま音楽へ広がったように感じられます。
だからこそ、ミュージカルではセリフと歌の境界線をできるだけ自然につなげる能力が重要になります。
歌が始まってもお芝居は終わらない
もう一つ重要なのが、「歌っている最中も役の思考は続いている」ということです。
歌い始めると、
「高音を外さないようにしよう」
「次は息継ぎだ」
「ここでビブラートを入れよう」
など、歌唱技術ばかり考えてしまうことがあります。
もちろん技術的な準備は必要です。
しかし、本番で登場人物まで「次の高音を外さないようにしよう」と考えているわけではありません。
役としては、
「相手を説得したい」
「本当は行ってほしくない」
「自分の気持ちに初めて気づいた」
といった思考が続いています。
一曲の中でも感情は変化する
たとえば、曲の最初では「寂しい」と感じていた人物が、
途中で
「どうして自分だけこんな目に遭うんだ」
と怒り、
最後には、
「それでも前へ進もう」
と決意することもあります。
すると、寂しさ → 怒り → 決意、という変化が一曲の中に存在します。
すべてを同じ声量、同じ音色、同じ表情で歌ってしまうと、この変化が観客へ伝わりにくくなります。
声量、息の量、発音、声色、語尾、間などを変化させながら、役の思考を歌声に反映させていきましょう。
「感情を込める=発声を崩す」ではない
ミュージカル初心者が注意したいポイントがあります。
それが、「感情を表現しようとして、発声まで崩してしまうこと」です。
怒りを表現するために叫ぶ。
悲しさを表現するために大量の息を漏らす。
必死さを表現するために首や顎へ力を入れる。
これでは毎回安定したパフォーマンスをすることが難しくなります。
特に舞台では、同じ作品を何公演も上演することがあります。
一回だけ出せる声ではなく、繰り返し再現できる発声が必要です。
目指したいのは、発声そのものはコントロールされているのに、感情は生々しく聞こえる状態です。
技術によって感情を消すのではありません。
技術があるからこそ、役の感情に合わせて声を自由に変えられるようになるのです。
ただ、時として発声を崩して発することで伝えられるニュアンスもあります。
役作りをしていく中で、どんな表現を選択していくかが肝要になります。
ミュージカルに向けた発声練習

ここからは、自宅でも実践しやすい発声練習をご紹介します。
重要なのは、ただ書いてある音を出すだけではなく、「何を確認する練習なのか」を理解して行うことです。
①身体の力を抜く
最初から大きな声を出す必要はありません。
まずは足を肩幅程度に開き、膝を軽く緩めます。
肩を上げてストンと落とし、首を左右へゆっくり傾けます。
次に顎を軽く動かし、口周辺の力を抜きましょう。
ここで確認したいのは、
・肩が必要以上に上がっていない ・顎を前へ突き出していない ・首が固まっていない
という3点です。
この状態で楽な高さの「あー」を出してみます。
声を出した瞬間に肩や首が固くならなければOKです。
息をリラックスして吐ききるように声を出していきまししょう。
②呼吸を安定させる
次は呼吸です。
姿勢を整えたら、お腹や脇腹周辺へ手を当てます。
4秒程度かけて無理のない量の息を吸います。
その後、「スーーーー」と8秒程度、一定の強さで息を吐いてみましょう。
慣れてきたら10秒、12秒と伸ばします。
ただし、長く吐くことそのものが目的ではありません。
最初と最後で息の勢いが大きく変わらないことを確認してください。
舞台上では動きながら歌うこともあるため、息を一気に使い切らず、必要な量をコントロールすることが重要です。
③ハミングから母音へつなげる
口を軽く閉じて、「んーー」と楽な高さで発声します。
鼻や唇の周辺に軽い振動を感じたら「んーまー」と口を開けます。
続いて、「んーめー」、「んーみー」、「んーもー」と変えてみましょう。
ここで重要なのは、口を開けた瞬間に喉へ力を入れないことです。
「んー」では楽だったのに「まー」にした瞬間だけ苦しくなる場合は、声を出そうと頑張りすぎている可能性があります。
ハミングの楽な状態をなるべく維持したまま、母音へつなげてみましょう。
④母音を変えて発声する
次に、
「マー・マー・マー・マー・マー」
などの言葉を、
ド・レ・ミ・レ・ド
程度の簡単な音型で発声します。
「マ」ができたら、
「メ」
「ミ」
「モ」
などに変えてみましょう。
母音が変わっても、極端に音程が不安定になったり、喉が苦しくなったりしないことを確認します。
最初は出しやすい高さから始め、半音ずつ上げていきましょう。
高くなったときに顎が上がり始めたら、そこで一度止めます。
無理に最高音を更新する練習ではありません。
しっかり自身の中で響く音を掴む練習です。
⑤地声と裏声をつなげる
ミュージカルでは、力強い地声感のある声だけでなく、柔らかな高音なども求められます。
そこで、「ウーーー」と声を出しながら、
低い音 → 高い音 → 低い音
とサイレンのように滑らかに移動してみましょう。
高音になったら、無理に地声の太さを維持する必要はありません。
声が軽くなったり、裏声方向へ変化したりして構いません。
ここでの目的は、高い音まで地声で耐えることではなく、低音から高音まで声を途切れさせず移動することです。
途中で声がひっくり返っても、最初は問題ありません。
何度も行いながら、力を入れずに声の変化を滑らかにしていきましょう。
⑥滑舌を発声につなげる
次は、
「マ・メ・ミ・モ・ム」
「ナ・ネ・ニ・ノ・ヌ」
「ラ・レ・リ・ロ・ル」
などを一定のテンポで発音します。
最初は音程をつけずに行います。
慣れたら簡単な音程をつけてみましょう。
ポイントは、
子音を明確にしながら、母音になったら声を伸びやかにすること。
顎や舌に力を入れて一文字ずつ切るのではなく、一つのフレーズとしてつなげます。
スマートフォンで録音し、文字を見なくても何を言っているのか分かれば成功です。
⑦セリフから歌へつなげる
ここから、よりミュージカルらしい練習になります。
実際に練習している劇中歌から、4〜8小節程度を選びましょう。
そして、
①歌詞を普通に読む ②役としてセリフを言う ③原曲のリズムだけで読む ④一つの音程で発声する ⑤原曲のメロディーで歌う
という順番で練習します。
⑤になった瞬間に急に「歌手の声」になっていないか確認してください。
①や②で表現できていた言葉の強弱や感情が、⑤でも残っていれば成功です。
⑧同じフレーズを違う感情で歌う
同じ歌詞を使って、
1回目は「相手を慰める」
2回目は「相手を責める」
3回目は「本心を隠している」
など、異なる目的を設定して歌います。
そして録音してください。
顔の表情だけ変えるのではなく、歌唱に違いが現れているか確認します。
⑨動きながら歌う
最後は、舞台を想定した練習です。
最初は簡単な動作から始めます。
歩きながら歌う。
途中で止まる。
振り返る。
椅子から立つ。
相手を見る動きを入れる。
これだけでも、静止して歌う場合とは身体の状態が変わります。
動いた瞬間に音程が崩れたり、呼吸が浅くなったり、肩が上がったりしていないか確認しましょう。
慣れてきたら、実際の芝居の動きに近づけていきます。
「止まっていれば歌える」から「芝居をしていても歌える」へ進めることが、ミュージカルの実践的なトレーニングになります。
ミュージカルの歌を歌ってみたい方は「ミュージカルコース」へ!ミュージカル発声で注意したいポイント

大きな声を出すことを目的にしない
「舞台だから大声を出さなければ!」
と考えてしまうことがあります。
しかし、大きな声と無理に叫んだ声は別物です。
声量を上げるほど首や顎が固まり、高音になるほど苦しくなるのであれば、一度声量を下げて練習してください。
役作りのために喉を痛めない
役によっては、怒鳴るような声や激しい感情表現が必要になることがあります。
しかし、
「役が怒っているから、本当に喉が痛くなるまで叫ぶ」
必要はありません。
痛みや強い違和感が出た場合は練習を中止しましょう。
役の感情を表現しながらも、繰り返し再現できる声を目指すことが大切です。
キャストの声をそのままコピーしない
好きな俳優の歌唱を参考にすることは非常に勉強になります。
ただし、声帯や声道など身体的な条件は一人ひとり異なります。
そのため、
「この俳優がこの声を出しているから、自分もまったく同じ声にしなければ」
と考える必要はありません。
参考にしたいのは、
なぜこの言葉を強くしたのか
なぜここで声を弱くしたのか
なぜこの場面では地声感を強くしたのか
といった表現の意図です。
そのうえで、自分の声に適した方法を探していきましょう。
よくある質問
ミュージカルでは地声で歌ったほうがいいですか?
A. すべてを地声で歌う必要はありません。
力強い場面では地声感のある発声が適している場合がありますが、繊細な場面では裏声や柔らかな音色が必要になることもあります。
高音まで無理に地声の太さを維持すると、力みにつながることもあります。
地声・裏声・いわゆるミックス系の発声などを使い分け、役や楽曲に適した声を選択できることを目標にしましょう。
ミュージカルでは声量が大きいほうが有利ですか?
A. 単純に声が大きければよいわけではありません。
声量だけでなく、音程、響き、歌詞の聞き取りやすさ、役の感情なども重要です。
現代のミュージカルではマイクを使用する公演も多いため、「マイクに勝つほど大きな声」を目指す必要はありません。
小さな声から力強い声まで、必要に応じてコントロールできることが重要です。
ミュージカルを歌うにはクラシックの発声が必要ですか?
A. 作品によって異なります。
クラシック寄りの作品では豊かな響きや滑らかなフレーズが求められる場合があります。
一方、現代的なミュージカルにはポップスやロックなどの要素を持つ作品もあります。
「ミュージカルだから必ずこの声」と決めるのではなく、出演したい作品や役柄がどのような音色を求めているのかを分析することが大切です。
歌うと芝居っぽさがなくなってしまいます。どうすればいいですか?
A. 一度メロディーを外してみましょう。
歌詞をセリフとして、
「誰に言っているのか」
「なぜ言うのか」
「相手にどうしてほしいのか」
を考えながら読みます。
その後、
セリフ → リズム読み → 一つの音程 → メロディー
と段階的に歌へ戻します。
メロディーをつけても、セリフとして読んだときのニュアンスが残っているか確認してみましょう。
ミュージカルでは「役として歌える声」を作ろう

今回は、ミュージカルで求められる発声について詳しく解説しました。
ミュージカルの発声というと、
「大きな声」
「高い声」
「響きのある声」
などを想像するかもしれません。
しかし、本当に重要なのは、一種類の立派な声を身につけることではありません。
地声、裏声、いわゆるミックス系の発声。
強い声、弱い声。
明るい声、暗い声。
話し声に近い声、歌唱的な声。
こうした選択肢を増やし、
「この役が、この瞬間、この言葉を伝えるならどんな声になるだろう?」
と考えながら使い分けることが、ミュージカルの発声では重要になります。
そして、歌が始まったからといって芝居が終わるわけではありません。
相手のセリフを受ける→ 感情 → 歌 → セリフ
は、すべて一人の登場人物の中で起こっています。
発声練習でも「いい声を出すこと」だけをゴールにせず、歌っている間も役として言葉を届けられているか。
まで確認してみましょう。
発声を安定させるための技術と、役として言葉を届けるための芝居。
この二つを別々に考えるのではなく、少しずつ結びつけていくことが、ミュージカルをより魅力的に歌うための第一歩です。
大宮のボイトレスクール「NOPPO MUSIC SCHOOL」の無料体験レッスンはこちら!