こんにちは!
NOPPO MUSIC SCHOOLの曽我です!
DTM・作曲・編曲などのレッスンコースを担当しております。
今回は年間100件近く歌ってみた動画のミックスを担当する私が考える、歌ってみたのミックスについて、特にオケとボーカルをなじませる方法についてのお話をしたいと思います!
特によくある問題として、
・ダイナミクスの問題
・周波数の問題
・ピッチやタイミングの問題
の3つをご紹介しています!
歌ってみたのミックスがうまくいかない方や、毎回正解がわからず結局外注してしまう方など必見です。
もちろん、『MIX師』を目指す方々も参考にしていただける記事になっております!
ボーカルが浮いてしまう、うまくオケとなじまないとお悩みの方はぜひ最後までお読みください!
“そもそもなぜミックスが必要なのか?”
音源制作において、ミックスとは各トラックの音作りや、音量バランスを整えることを指します。
特に各トラックのバランスは重要で、歌ものの場合であれば、ボーカルと同じ周波数帯域の楽器(ギターやピアノなど)は、ボーカルに主役を譲るためにイコライザーなどで処理をすることがほとんどです。
歌ってみたのミックスの場合、ほとんどが配布されたオフボーカル(インスト)音源とボーカル音源を混ぜる作業になります。そのため、歌ってみたのミックスの際には、各楽器のバランスの知識よりも、特に声とオケのミックスにおける知識が重要になります。
声などのマイクで録音した音には、不要、耳障りな周波数帯域や音量差が含まれています。それらを耳で聞き分けて、他のトラックとなじませていくのがミックスという作業であり、音源制作においては非常に重要であるというわけです。
“原因①「ダイナミクスの問題」”
ボーカルがなじまない原因は、ほとんどがこのダイナミクス(音量差)の問題と、後述する周波数の問題にあります。
Bメロや落ちサビなどでやさしく歌っているところと、サビで元気に歌っているところの音量差が激しいほど、「ダイナミクスが大きい」といいます。ダイナミクスを揃えていく、つまりボーカルの音量をできるだけ一定にすることで、オケとなじみやすくなります。
ダイナミクスを適切に処理するにはコンプレッサーの知識がどうしても必要になりますが、ミックスにおいて最重要ともいえるコンプレッサーは使えるようになりましょう。
結論から言えば、歌ってみたではかなりきつくコンプレッサーをかけて大丈夫です。
歌ってみたでよく用いられるボカロ曲は、オケの音圧がかなり高いものが多いです。(ものによってはオケの段階で限界まで音圧が上がっている、いわゆる海苔波形の音源もよく見かけます)
オケのダイナミクスにボーカルも合わせるようにするとよいでしょう。
やさしい箇所は小さな声で、元気な箇所は大きな声で歌うのが、上手に聴こえる要因でもありますが、歌ってみたではなじまない原因となりうるのです。
具体的に、私はいつもどのように音を圧縮していくかというと、以下のような流れで、上から順に音量を調整しています。
・Waves MV2(小さいところを大きく、大きいところを小さくする)
・リミッター(突発的なピークを抑える)
・FET系コンプ(1176など。子音部分を中心に圧縮。-5~7dB)
・Opt系コンプ(LA-2A)など。母音部分を中心に圧縮。-5~7dB)
・リミッター(強調されすぎた子音を抑える)
“原因②「周波数の問題」”
歌ってみたのボーカルを録音する場合、完璧に整ったレコーディングスタジオではなく、たいていは宅録のことが多いでしょう。そもそも正しく録音できているでしょうか。ボーカルがなじまない原因は「近接効果」にあるかもしれません。
近接効果とは、マイクと音源の距離が近づくにつれて、低音域が強調される効果のことです。実際に見てみると、マイクの近くで声を出したときのほうが音量が上がっているのと同時に低音域が強くでているのがわかります。音量は同じになるように揃えているのに、低い帯域にかなり違いがありますね。(下が近くで録音した場合です。200Hz付近が+6dBほど強調されています)
オケに混ぜたときに、声が浮いて聴こえたり、ボーカルが近すぎてこもっていると感じる場合は、絶対に低音域を削りましょう。
EQ処理では、ピークを持ち上げて色々なところをちょっとずつ削る作業(マスキングといいます)が大事とよく言われますが、とにかくまず低音域を削るとボーカルの距離が少し遠くなって、うまくなじんでくれる場合がほとんどです。
良いマイクを使うことはもちろん大事ですが、それと同じくらいマイキング(口とマイクの距離を考えたり、マイクの位置を調節したりすること)が大事です。
また、息の成分が多い高音域をブーストするのも良い方法です。こうすることで、声にハリや艶がでるため、埋もれにくくなります。こちらはお好みですが、近年の歌ってみたやボカロ曲では、ボーカルは非常に元気な音作りが好まれるため、おすすめです。
具体的には、以下のようなEQ処理をしています。
・カット用EQをコンプより前段にかける
100Hz以下等聴こえない部分をカットしてコンプに不必要な入力をしないようにする。また、200~300Hzの間を削るとこもりが解消される
・ブースト用EQをコンプよりあとにかける
アナログEQのシミュレーターがおすすめ。高域を持ち上げてボーカルに存在感を与える。
“原因③「ピッチ・タイミングの問題」”
最後は前述の2つとは少し異なりますが、音声処理以前に、ピッチやタイミングがずれていると、いくら綺麗な音源に仕上げてもボーカルが浮いて聴こえてしまいます。
歌ってみたは気軽に始められて、自身の作品づくりという点で非常に良いものですが、その気軽さ故に原曲をあまり聴き込まずに歌っていると、音程や譜割りが曖昧な箇所が出てくると思います。誰かに聴いてもらうのであれば、手は抜かないほうがよいでしょう。
では、ピッチやタイミングがあっていない音源をもらった場合はどうすればよいかというと、修正ソフトを用いて1音ずつ直す必要があります。
ピッチに関してはスケールを指定して自動で補正してくれるソフトもありますが、タイミングに関してはDAWソフト等にある音声編集機能で波形をいじってリズムを揃えていきましょう。
補正をかけると、必然的に自然な音源ではなくなります。自分の声を自然にそのまま届けるためにも、まずは良い歌が歌えるようになるといいですね!
“最後に”
今回は、歌ってみたのミックスにおいてボーカルがなじまない3つの原因を大まかにご紹介しました。
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