「渋い低音ボイスを出したい!」
「もっと低い声が出せたら、歌に深みが出るのに…」
「憧れのあの歌手のような低音に憧れる!」
そう感じたことはありませんか?
高音に注目が集まりがちなボーカルトレーニングですが、実は低音域の充実には歌唱全体の表現力を支える効果があります。
地声の説得力や、柔らかく語りかけるような歌い方を実現するためにも、低い声をコントロールできることは大きな武器になります。
このコラムでは、「低い声の出し方」について、その仕組み・原因・トレーニング方法を詳しく解説していきます。
低音ボイスの出し方・仕組みを理解しよう
まず、低い声とはどのようにして出ているのでしょうか?
人の声は、声帯が振動することで音が生まれる仕組みになっています。この声帯がゆっくり・大きく振動すると低い声、速く・細かく振動すると高い声になります。
つまり、低音を出すには主に以下のポイントが関係します。
声帯の厚み・長さ・閉鎖のコントロール
厚くてたるんだ状態の声帯は、ゆっくり振動しやすくなります。これが低音を生む基盤です。
一方で、高音のときには声帯が薄く伸びて張った状態になります。この状態だと、低音はうまくならなくなってしまう傾向があります。
息の流れと共鳴の調整
息を無理に強く吐きすぎると、低音域はブレてしまいます。
胸や喉の奥(下咽頭)など、下方向の共鳴腔を使うことで、より深みのある低音を作ることができます。

低い声が出ない原因とは?
「どうして低音がうまく出ないのか」
この原因はいくつか考えられます。以下をチェックしてみましょう。
声帯をしっかり閉じることができていない
低音を出すには、声帯を厚くし、しっかり閉じることが大切です。
力みすぎたり、息漏れが多いと、声がかすれたり、安定しない原因になります。
高音発声のクセが残っている
普段から高音域ばかり練習していると、声帯が「引っ張られた状態」に慣れてしまいます。
その状態で低音を出そうとすると、声帯が薄くなりすぎてうまく振動しません。
声を無理なく出すために無駄な力みを取ることが重要です。
力の入れどころが間違っている
低音を出す際に、喉や首に力を入れてしまう人がいます。
しかし、これは逆効果。喉を締めてしまうと、声道(声の通り道)が狭まり、響きが悪くなるのです。
女性で低い声が出ない原因は?
女声の方、または地声が高い男性の方で低音が出づらいと感じている方もいらっしゃると思います。
これには「声帯の大きさ」が関係しているのです。
低い声の出やすさ・出にくさには、個人の「声帯の大きさ」や「体格」によって変化します。
声帯自体が大きい(喉仏がはっきり出ている)や、体格の大きい人は、低音の出やすい傾向にあります。
これは、楽器自体が大きく、低音までしっかり振動するからなのです。
よって、声帯が小さい方、または体格が小さい方は、低い声が出にくい傾向にあります。
これに当てはまる方は、コツやトレーニング方法を実践し、ゆっくり振動させる、響かせる実感を掴んでみてください!

低音を響かせるには「共鳴」と「脱力」がカギ。
低音域で魅力的な声を出すためには、「共鳴」と「脱力」がポイントになります。
共鳴ポイントを意識する
低音を響かせたいときは、胸や喉の奥(下咽頭)、頭の後ろ側(中咽頭)など、下方向の共鳴腔を意識しましょう。
言い換えるなら、「声を前に飛ばす」のではなく、「自分の体の中に響かせる」ような感覚です。
無駄な力を抜く
首や肩、舌の根元などに力が入っていると、声帯の動きが阻害されます。
特に低音域では、「脱力」と「重心を下げる意識」が重要です。
今日からできる!低音トレーニング方法
ここからは、具体的に低音を鍛えるトレーニング方法をご紹介します。
➀ハミングでリラックス&共鳴確認
まずは「んー」と口を閉じた状態で軽くハミングを行います。
このとき、胸や喉の奥に響く感覚があるか確認してください。
胸に手を当て、直接振動を感じながら実践すると効果的です。
ポイント
- ・姿勢をまっすぐに保つように注意する
- ・息を流しすぎず、安定させるイメージで
➁リップロール+低音スケール
唇をプルプル震わせる「リップロール」で、低音に向かってスケールダウンしていきましょう。
もしリップロールができない方は、ハミングでも大丈夫です!
例:ド(C4)→シ→ラ→ソ→ファ→ミ→レ→ド(C3)
声帯を脱力したまま、自然に低音まで降りていくことを意識します。
➂“母音のみ”発声で響きを磨く
「ウ」「オ」などの母音だけを使って、ゆっくりと低音を出します。
子音をつけると無意識に力が入るため、母音だけで声を整える練習が効果的です。
➃語尾落とし練習
日常会話のように、語尾をゆっくり落とす練習です。
例:「こんにちはぁぁぁ…」「ありがとうぅぅぅ…」
このように語尾を低く、響きを意識して落としていくことで、低音域のコントロールが上達します。
練習のときに気をつけたいこと
- ・毎回の発声を録音すること:低音の安定性や響き方の確認ができます。
- ・無理に出そうとしない:低音は一朝一夕で伸びるものではありません。
毎日少しずつ練習を積み重ねることが大切です。
低音の魅力と使いどころ
低音の響きは、落ち着き・説得力・包容力を表現するために非常に効果的です。
J-POPやバラード曲でも、Aメロや語りの部分など、感情を込めたい場面で活躍します。
また、声優やナレーション、MCなどでも、低い声は重宝される要素です。

低音の練習におすすめの楽曲
ここでは、低音の練習に効果的な楽曲をご紹介します。
>出し方に慣れてきたら、歌唱へのアプローチに挑戦してみましょう!
男性歌手の音域が低い曲
- 〇家族になろうよ / 福山雅治
- 〇ルビーの指環 / 寺尾聰
- 〇overdose / なとり
女性歌手の音域が低い曲
- 〇糸 / 中島みゆき
- 〇Story / AI
- 〇秋桜 / 山口百恵
女性は、男性ボーカルの少し高めなキーの楽曲を歌うのも効果的です!
低音は「支え」と「表現」の要
低音をしっかりコントロールできるようになると、声全体のバランスが整い、歌唱に説得力と幅が出てきます。
- ・声帯を厚く・ゆっくり振動させる
- ・脱力と共鳴を意識する
- ・日々のトレーニングで身体に覚えさせる
「高音ばかり練習していたけど、低音も取り組んでみようかな」
そう思ったあなたは、確実に一歩前進しています!
低音の魅力に目を向けて、あなたの歌にさらなる深みを加えていきましょう。
良い歌ライフを!
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