こんにちは!
NOPPO MUSIC SCHOOL ミュージカル講師の花音美燈です♪
先日、お腹いっぱいになってしまった後に歌わなければならなくなり、「あ…失敗した…うっ……」と苦しくなりながら、闘うように歌う羽目となりました……。
そこで改めて、「お腹いっぱいになったらなぜ歌いづらいのか?」という点についてまとめてみようと思い、今回は記事にしてみました!
レッスン前はもちろん、本番のコンディション作りにも役立つ内容となっておりますので、ぜひお読みください♪
横隔膜と胃の位置関係
歌う時の呼吸は、腹式呼吸を使いますよね。
腹式呼吸では、横隔膜の動きが重要になってきます。
その横隔膜が具体的には身体のどの位置にあるのか、ご存じですか?
横隔膜の上には肺、横隔膜の下には胃があります。
空気は肺に入るわけですが、肺には筋肉がありません。
そのため、肺は自分の力で膨らんだりしぼんだりすることができないのです。
それではどうしているのかというと、肋骨の間にある筋肉や横隔膜を動かすことによって、空気の出し入れをしています。
それに伴い、息を吸う時には「横隔膜は下がり」、息を吐く時には「横隔膜は上がり」ます。
さて、上記の横隔膜の位置をご確認いただければわかる通り、その上下する横隔膜の下には「胃」があります。
食べた物は食道を通って胃へと降りてきます。
食べたばかりではまだそれらを消化し切っておらず、胃に溜まっている状態です。
つまり、胃が膨らんでいる状態、という訳です。
するとどうでしょう。
横隔膜の動きが制限されることが想像できますでしょうか。
ここまで読んでもピンと来ない方は、食事を取る前と後の腹式呼吸を実際に比べてみると良いでしょう。
満腹時の横隔膜の動かしづらさに気づくことができるはずです。
これが「お腹いっぱいになったら歌いづらい」大きな要因であると推察されます。
消化中は体がリラックスモードに
お昼休憩でご飯を食べた後の授業やお仕事、眠くなったことがある人も多いですよね。
消化中は副交感神経が優位になり、身体がリラックスモードに入ります。
あらゆる筋肉・神経がリラックスモードになっているので、声を出すための筋肉もコントロールが難しくなってしまいます。
(寝起きの状態と同じようなもの——と言うと、なんだか歌うのには良くなさそうですよね。)
また、血糖値も上がり集中力も下がりますので、ステージでパフォーマンスするという点においてもあまり良いコンディションとは言えないでしょう。
(集中力を高めるために空腹で本番に挑む俳優さんもいらっしゃいます。)
他にも、食後は唾液の分泌が増えたり、痰が絡んだり……。
理由を追求してみると、食後というのは歌うのには適さないのだということが複合的に見えてきます。
では、歌う前は空腹にしておくべきか?
さて、ここまでは理論上のお話ですが、「え? 私はお腹いっぱいにしないと歌えない!」と言う方もいらっしゃるかもしれません。
結局は個人差がありますので、自分がベストコンディションを出せる状態を作るには、「いつどれくらい何を食べておくと良いか?」ということを見つけておくことが大切です。
一般的には、歌う2時間前までに食事は済ませておく、腹6〜7分目に留めておく、というのが良いそうですが、そもそもそんなに都合よく食事を取ることもできないのが現状です。
特にミュージカルの本番では休憩時間も限られていることがほとんどなので、自分の思い通りに食事を取ることは基本的にできないと思っていて良いでしょう。
休憩のタイミングやその日のスケジュールを見て、時間と量で上手く調整できるように、自分自身を知っておくことが大切です。
休息の時間やアップの時間、メイクの時間等も必要ですから、限られた時間の中で何をどう配分するのかその時毎に決めていかなければなりません。
ちなみに私は、開演時間の1時間前までに腹7〜8分目ほど食べます。
1時間前までには全て食べ終わっている状態です。
満腹にはならないように、エネルギーになるものと栄養を摂取します。
炭水化物は少量にして、タンパク質と野菜や果物を多めに取っている気がします。
ミュージカルは歌も芝居もダンスもしますので、体力もいるし、筋肉も消耗します。
空腹すぎるのもベストパフォーマンスを出せないと個人的には思っていますので、必要な栄養素を絶妙な量摂れるように意識しています。
場合によってはプロテインを飲むこともありますね。
(ちなみに最近のお気に入りはちくわです。)
でも休憩がもらえたタイミングで開演まであと1時間を切っていたら、食べることを諦めます。
それでもお腹が空いていたら、ゼリー飲料や野菜ジュースだけ取ります。
(……とは言え、小屋入り中は胃が小さくなっているのか、感覚が身に染み付いたのか、腹8分目でも通常の感覚では6分目程度のような気がするので、そもそもそんなに食べられなくなっていると思います。)
皆さんも、
「どれくらい食べるといいか?」
「何を食べるとベストコンディションを出せるか?」
日々のレッスンや個人練習の時間を利用して、ご自身にとって最もベストな回答を見つけておきましょう!