みなさんは、「1/fゆらぎ(エフブンのイチゆらぎ)」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。
このコラムで初めて知った、という方もいらっしゃるかもしれません。
音楽を聴く時どんな要素に惹かれますか?
メロディー、リズム、歌詞など・・・。
様々な観点から好きな音楽を見出しています。
その要素として、アーティストの「声」そのものに惹かれることがあると思います。
では、アーテイストの声はどうしてあんなに魅力的なのでしょうか。
その秘密が、「1/fゆらぎ」なのです
では、「1/fゆらぎ」とはいったいなんなのでしょうか。
このコラムでは、魅力的な声の秘密を徹底解説致します!
では、参りましょう!
1/fゆらぎとは
「1/fゆらぎ」を持つ音は、聴いているだけでリラックス効果があったり、「心地よい」と感じさせる効果があると言われています。
もし「1/fゆらぎ」を持つ声になることができたら。
人を惹きつける、そんな魅力的な表現ができるようになるとも言えるでしょう。
では、「1/fゆらぎ」とはいったい何なのか。
1つずつ見ていきましょう。
1/fゆらぎを持つアーティスト
「1/fゆらぎ」を持つと言われているアーティストをご紹介します。
美空ひばり
MISIA
宇多田ヒカル
皆さん、音楽シーンで長く活躍しているとともについつい聞いてしまう本当に魅力的な声を持っています。
では、なぜこれらのアーティストの声を聞きたくなってしまうのか。
そこには、「音」というものの性質と、その中で1/fゆらぎがどういった物なのかが大きく関係していきます。
より声について知りたい方は「発声基礎コース」へ!そもそも「ゆらぎ」とは?
そもそも音は、物体が振動した際に起こる空気の振動が、鼓膜に伝わることで聞くことができます。
乾杯した際にグラスをぶつけた時になる「チ―ン」という音。
スピーカーから流れる音楽。
人が歩いた時の足音。
すべてが、振動なのです。
実は、音はすべて規則的に振動しているわけではなく、物体や空気により不規則的に振動していると言えます。
この不規則的な振動の事を、「ゆらぎ」というのです。
ここで、ゆらぎの代表的な例をご紹介します。
ホワイトノイズ
日常生活の中でよく耳にする「シャーッ」という音。
テレビの砂嵐や換気扇の音が代表的です。
これは、人間が聞き取れるすべての周波数帯の音が、ほぼ均等な強さで混ざった音です。
そのため、音の変化は完全にランダムで、「非常に不規則なゆらぎ」を持っています。
ブラウンノイズ
ホワイトノイズよりも低い周波数が強く、変化にある程度の連続性があります。
そのため、完全にランダムというよりは、「やや予測可能なゆらぎ」を持つ音です。
ピンクノイズ
ホワイトノイズ、ブラウンノイズの中間に位置する性質を持った、「規則性」と「不規則性」の両方の性質を兼ねそろえた音です
これらの中でもこのピンクノイズが、「1/fゆらぎ」に近いと言われています。

1/fゆらぎとは
「1/fゆらぎ」とは、「自然界の音、光、動きに見られる、規則性と不規則性が調和した心地よい音の波」の事です。
音はほとんどの場合、ある一定の「ゆらぎ」を持っていますが、その不規則性にも度合があります。
ある一定の規則性も同時に併せ持つ音、それが「1/fゆらぎ」を持つ音なのです。
ただ、耳でこの規則性と不規則性を判断することは難しく、波形等音を視覚的にとらえる技術にて人間は確認することが出来ます。
では、どういった音が「1/fゆらぎ」を持つと言われているのでしょうか。
1/fゆらぎを持つ音
「1/fゆらぎ」を持つ音は自然現象で多く聴くことができ、
・川のせせらぎ
・風の音
・小鳥のさえずり
・虫の羽音
など、古来より人が「心地いい」と感じてきた音には「1/fゆらぎ」が含まれると言われています。
実は音以外にも、ろうそくの火や風にそよぐ木など、規則性と不規則性をもった視覚的情報も、「1/fゆらぎ」を持っているのです。
1/fゆらぎはなぜ心地いい?
1/fゆらぎが人にとって心地いい理由はなんでしょうか。
実は、人間の生体の仕組みに大きな秘密があるのです。
それが、「心臓の鼓動」です。
心臓の鼓動、つまり心拍を図ってみると、一見同じリズムで動いていると感じますが実は1泊ごとに少しずつ早くなったり遅くなったりを繰り返しています。
これは、先述にある「規則性」と「不規則性」を伴った動きで、心拍を電気信号として測定した際、「1/fゆらぎ」であることが確認できます。
すなわち、「1/fゆらぎ」とは「人が根源的にもっているゆらぎ」と言え、感覚的に「1/fゆらぎ」を捉えた時、生体のリズムと共鳴することで、心地よさやリラックスを感じるのです。

1/fゆらぎを持つ声
では、1/fゆらぎを持つ声とはどんな声なのでしょうか。
上記の定義を用いれば、「規則性」と「不規則性」のあるゆらぎを伴った声。
ここで、「1/fゆらぎ」を持つアーティストとして代表的なアーテイストの声を分析しながら解説していきます。
MISIAさんの声を分析
MISIAさんの声には、力強い響きがあるとともに、常に空気感を含んだ柔らかい響きを持っていることが分かります。
特にAメロといった、普段の声に近いパートではその特徴を感じます。
この力強い響きが「規則性のあるゆらぎ」、息が混ざった柔らかい響きを「不規則性のあるゆらぎ」ととらえることが出来ることと思います。
この両方の性質を併せ持つ時、声は「1/fゆらぎ」を持つと言えると推測されます。
1/fゆらぎの声を持つ人
では、どういった方が「1/fゆらぎ」を持つ声なのでしょうか。
実は、「1/fゆらぎ」を持つ声は、完全に解明されていないとされています。
これには、発声の仕組みや体の構造、習慣が大きく関係します。
人の声は、声帯の形、大きさ、骨格、体格等様々なバランスによって成り立っています。
声帯や体格が大きくなれば声は低くなり、小さくなれば高くなる。
骨格によっても、響き方は大きく変わるので、似ている声はあれど全く同じ声というのは考えられないのです。
また、声は出し方によっても大きく変化します。
それぞれの生活環境や地域など、どういった生活で発声してきたかが、声の出し方に大きく影響します。
人が心地いいと感じる声を持つ人は、様々な生体のバランスか噛み合って、人が心地よいと感じる「1/fゆらぎ」を持つ声を発することが出来るのです。
すなわち、「1/fゆらぎ」を持つ声というのは、「生まれ持った才能・環境」という不確定要素が大きくなってしまうのです。
1/fゆらぎの声の出し方
では、そもそも「1/fゆらぎ」の声を持っていない人は、人にとって心地いいと感じる声を出すことは難しいのでしょうか。
実は、「完全に1/fゆらぎを持つ声を出す」というのは難しいのですが、練習することで近い声を出すことが出来ます。
人の声は、出し方を変えることで同じ声であっても聞こえ方を大きく変えることが出来ます。
一つずつトライして、自分にあった声の出し方を探してみましょう!
1/fゆらぎの声の出し方~話し声に息を混ぜる~
声帯がしっかり閉じて振動している時、芯のある響きを持った声が発せられます。
この規則性のあるゆらぎに、「息」という不規則性のあるゆらぎを混ぜてみましょう。
声帯は、息が大きく吐かれると閉鎖する力が弱まるという傾向があります。
声の成分にも息の要素が混ざるので、元々の声殿バランスを図ることで柔らかい響きを持った聴きやすい声も出すことが出来ます。
1/fゆらぎの声の出し方~声まねにチャレンジ
もし実践してみて上手く声がコントロールできないなら、
自身が聞いて「良い声だな」と感じる方の声を真似してみましょう。
完全にその声になるというのは中々難しいですが、出し方を感覚的にとらえる事で心地よい声の出し方を実感することができます。
聴きやすい声の代表的な例として、俳優・ナレーターの森本レオさんが挙げられます。
以前、ダチョウ倶楽部の肥後さんが、森本レオさんのモノマネをしながら、本人とCMで共演するということがありました。
一度、聴いてみましょう。
ダチョウ俱楽部肥後さんによる森本レオさんのモノマネ
いかかでしょうか。
特徴や出し方をしっかり捉え、森本レオさんが持つ柔らかい声を再現し、心地いい声で話している事が分かります。
まず、自身が思う良い声を見つけるところから。
ぜひ実践してみてください!
よくある質問
歌が上手い人には、必ず1/fゆらぎがありますか?
A. 必ずしも全員に同じ形であるとは限りません。
ただし、魅力的に聞こえる歌声には、機械的すぎない自然な揺れやニュアンスが含まれていることが多く、それが結果的に心地よさにつながることがあります。
声が揺れていれば、1/fゆらぎがあるということですか?
A. そうとは限りません。
単に音程が不安定だったり、息が支えられていなかったりして揺れている場合は、心地よさではなく不安定さとして聞こえてしまいます。
大切なのは、“不安定”ではなく“自然で心地よい変化”になっているかどうかです。
歌唱テクニックと並行して実践できているか、録音して確認しましょう!
1/fゆらぎは、誰でも出せるようになりますか?
A. 可能性はあります。
ただし、無理に作ろうとすると不自然になりやすいため、まずはリラックスして自然に声を出せる状態を整えることが大切です。
発声、呼吸、響きのバランスが整ってくると、結果として自然な揺れや心地よさが出やすくなります。

「1/fゆらぎ」を理解して、魅力的な声を目指そう!
「1/fゆらぎ」とは、規則性と不規則性がバランスよく共存した“自然な揺らぎ”のことです。
魅力的に聞こえる声には、機械的に整いすぎた音ではなく、ほんのわずかな揺らぎやニュアンスが存在しているのです。
ただし、「1/fゆらぎ」は意図的に完全再現できるものではありません。
声帯の構造や体のバランス、これまでの発声習慣など、様々な要素が関係しています。
しかし、
✔ 息を適度に混ぜる
✔ 力みすぎない自然な発声を意識する
✔ 良いと感じる声を真似する
といったトレーニングを重ねることで、“心地よく響く声”に近づくことは十分可能です。
もし今、
・声が硬く聞こえる
・歌が機械的に聞こえる
・もっと魅力的な声になりたい
と感じているなら、テクニックだけでなく「自然な揺らぎ」にも意識を向けてみてください。
声は、コントロールするものでもあり、同時に“委ねるもの”でもあります。
そのバランスを掴めたとき、あなたの声はより自然に、人の心に届くものへと変わっていくはずです。
ぜひ、チャレンジしてみましょう!
より魅力的な声で歌いたい方は「ボーカルコース」へへ!