こんにちは!
NOPPO MUSIC SCHOOLです!
歌を練習していると、「呼吸が大切だ」と言われることがあると思います。
勿論、歌唱の際呼吸は大きなポイントになります。
しかしその中で、
「上手く息を吸うことができない・・・!」
「呼吸が安定せず、声が震えてしまう・・・!」
と感じることはありませんか?
そんな時思いつく言葉が、
「肺活量」
です。
「肺活量が足りないから、上手く歌うことができないんだ・・・。」
という結論にたどり着くことがあります。
では果たして、本当に肺活量は歌にとって必要なのでしょうか。
このコラムでは、歌にとって大切な呼吸のアプロ―チを徹底解説致します!
あなたのお悩みを解決する一つのアイデアになれれば幸いです。
では、参りましょう!

肺活量とは?男女別の平均
肺活量とは、「最大限に息を吸い込み、そこから最大限に吐き出せる空気の総量」のことです。
つまり、肺活量とは「吐ける息の量」なのです。
一般的な目安としては、
• 成人男性:約3,500〜4,500ml
• 成人女性:約2,500〜3,500ml
と言われています。
20代前半をピークに年々下がっていく傾向があり、タバコや疾患によって上記の数値よりも下回ってしまう場合もあります。
よって、
「年齢を重ねて肺活量が下がり、息苦しく感じる」
といったことが起きてしまうのです。
【肺活量じゃない!】歌のために必要な呼吸の仕組み
「年齢を重ねて肺活量が下がってしまったため、昔のように歌うことは出来ない・・・」
と、悲観してしまうかもしれません。
実は、まだ結論付けるには早いのです!
勿論、直接的な肺活量も歌いやすさに影響はしますが、肺活量が多ければ多いほど上手く歌が歌えるかと言われれば、そうではありません。
歌唱において大切なのは、
「息の量」ではなく、「息の使い方」なのです!
では、どのように使うことが必要なのか。
見ていきましょう。
声が出る仕組みをおさらい
まず、声が出る仕組みをおさらいしていきます。
声は、息が「声帯」という器官を通ることで振動し、音として発せられます。
声帯は2枚のひだのような形となっており、息が通ることで波打つように動き出します。
この動きが空気の密度に変化を加え、振動させます。
振動と声には大きな関係があり、
振動数が多くなる、すなわち振動するスピードが速くなると、声は高くなります。
また、音波の振幅(波の振れ幅)が大きくなると、声は大きくなります。
ボイストレーニングを行う際、この傾向を知っておくと声についてより着実にとらえることができます。
ここで分かるのが、声帯を動かすためには「息」は必要不可欠だという事。
息が声門(2つの声帯の間)を通ることで、初めて声が生まれるのです。
では、肺活量を高めて、多くの息を声帯に当てようとすれば、大きな声も高い声も生まれるのでしょうか。
実はそこには、大きな落とし穴があります。
「声門上圧」と「声門下圧」
声帯には、「大きな息が当たると上手く振動しなくなる」という傾向があります。
正しくは、「声帯同士の閉じる力が弱まってしまう」ということです。
声帯が閉じることを、発声学では「声帯閉鎖」と呼びます。
響く声を出すためにも、高いキーを歌うためにも、この声帯閉鎖ができなければ上手く声になりません。
声帯閉鎖が上手くできない理由には、「声帯を閉じる筋肉が弱い」ことも挙げられますが、
盲点になりやすいのが、「息を吐きすぎている」ということです。
声は、声帯にかかる圧力のバランスで成り立っています。
ここで覚えておきたいのが、「声門上圧」と「声門下圧」です。
声門上圧とは、声帯より上の空間(咽頭・口腔など)に生じる空気圧のこと。
息を止めた時に、喉に詰まるような感覚があると思います。
これが、声門上圧が高い状態です。
声門下圧とは、声帯の下(肺から気管にかけて)にかかる空気の圧力のこと。
肺活量は、この声門下圧の数値です。
息を多く吐こうとすれば、声門下圧は強くなります。
これらのバランスによって、人は声質や音量を調整しているのです。
では、それぞれの圧力により声帯はどのように動き、声はどう変化するのでしょうか。
・声門上圧の方が高い状態では、声帯閉鎖は強くなり、芯のある声が出ます。
・声門下圧の方が高い状態では声帯閉鎖は弱くなり、息の混じった柔らかい声になります。
すなわち、息を大きく吐きすぎることは、声門下圧を高めることであり、かえって声を出し辛くしてしまうのです。
勿論、声門下圧をある程度強くすることで、声帯を無理やり振動させ、大きな声を出せたり高いキーを歌えるようになったりと、効果が出る場合もありますが・・・。
行き過ぎた声門下圧は、声帯が圧力に耐えることができないため、むしろ逆効果となってしまうのです。
ここで必要なのが、「声門上圧」です 。
声門上圧は、「仮声帯」と「喉頭蓋」によって作られます。
仮声帯や喉頭蓋が咽頭腔を閉じるような動きをすることで、声帯に上側から圧をかけることができます。
この圧が、声門下圧を受け止め声帯にしっかり圧がかかるようになり、声になるのです。
よって、良い声を出すために必要なのは、
「声門上圧と声門下圧のバランスを保つ事」
なのです。
「肺活量」と歌の関係
では、肺活量は歌において全く必要ないのでしょうか?
そんなことはありません。
声帯は「声門下圧」があって初めて振動を開始するので、肺活量は必要不可欠になります。
むしろ、声門上圧だけがかかってしまうと、
息を止めたまま無理やり声を出すような状態となり、金切り声や詰まったような声になります。
これが、「喉が絞まる」といった状態です。
声門下圧、すなわち息が足りないと首周りの筋肉で声帯を締めあげるような発声方法となり、苦しさを伴ったまま歌ってしまうことになります。
このような状態の場合には、肺活量を鍛え、声帯にかかる圧力のバランスを保てるようになる必要があります。
より発声について詳しく知りたい方は、「発声基礎コース」へ!
息を上手く使うための発声練習
ここからは、息を上手く使うための発声練習を解説致します。
歌う前のウォームアップとして、活用してみましょう!
【声門下圧】腹式呼吸のトレーニング
肺活量を鍛えるには、「腹式呼吸」は欠かせないテクニックになります。
上手く息が吸えない時、「胸式呼吸」という浅い呼吸になっている場合がほとんどです。
ここで、横隔膜を動かしより肺を稼働させる腹式呼吸を取り入れましょう。
腹式呼吸のトレーニング方法
➀姿勢を正し、足は肩幅くらいまで広げ、まっすぐ正面を見つめます。
➁手を脇腹にあて、親指は背中に固定します。
※前ならえの先頭の姿勢です。
親指は指圧師さんのイメージで腰を軽く押します。
➂口から、あくびをしながらゆっくり吸います(4秒)。
この時、手を押し返すように、お腹を膨らませていきます。
(浮き輪のイメージで)
➃口を少しすぼめ、スーッと音を出しながら、細く長く吐いていきます。
(8秒)
息を多く吐くより、圧をかけていくイメージで、長く吐いて下さい。
➄これを適宜、繰り返していきます。
横隔膜(腹部にある、肺を動かすための器官)は、お腹の前側だけでなく、360度のイメージで腹部にあります。
一部分だけでなく、全体を稼働させてあげるとよりよいトレーニングになります!
以上です!
体全身に力が入らないよう、注意して行いましょう!
【声門上圧】「ネイ」のトレーニング
上手く呼吸ができるようになったら、
今度は声帯にかかる圧力をコントロールしていきます。
すなわち、「声門上圧」のコツを掴むトレーニングです。
「ネイ」のトレーニング方法
「ネイ」という発声で行うと、声門上圧の感覚を掴むことができます。
できるだけ息を漏らさず、芯の強い声で発声していきましょう。
➀「ド」の音を「ネイ」で発声します。
出だしの状態から息が漏れないように注意しましょう。
➁「ネイネイネイ・・・」と、「ドーレーミーファーソー」の音階を歌っていきましょう。
この時、最高音に向かうにつれ息が漏れてしまうと段々響きが失われてしまいます。
より集めていきイメージで、音色をキープしましょう。
➂そのまま、半音ずつキーを上げましょう。
最初、男性ならmid2G、女性ならHiC当たりが最高音かと思います。
➃苦しくなったら、またキーを下げていきましょう。
元の「ド」の音に戻れば終了です。
ここでの注意点は、
声門上圧のトレーニングに固執してしまうと、声帯に大きな負荷がかかり、上手く発声できなくなってしまうことです。
声門下圧とのバランスを捕えながら、適度にトレーニングすることを心掛けましょう。

よくある質問
リップロールの練習は効果的?
A.脱力や息を流すことには効果的ですが、やりすぎに注意です。
リップロールは、唇を震わせながら音をとる練習。力みがあり上手く息を流すことができない、また表情筋が硬く顔の筋肉を柔軟に動かせない方にはとても効果があります。
ただ、息を多く流す練習でもあるので、やりすぎると声門上圧がかからなくなり、息漏れの状態となってしまいます。
自身の声を見極めながら、適度に練習していきましょう。
トレーニングをしても肺活量が増えないのはなぜ?
A.疾患や、たばこが原因かもしれません。
疾患がある場合には、トレーニングが体への負担となってしまい体調の悪化を招く可能性があります。
こんな時は、まず通院することをお勧めします。
もし喫煙者であれば、たばこによる肺活量の減少も同じことが言えます。
禁煙も、呼吸におおきなメリットがあります。
まずは1本、たばこをやめてみることから始めてみましょう!
肺活量を増やすのに、腹筋は必要?
A.有酸素運動で、呼吸器を稼働させていきましょう。
腹式呼吸と聞くと、どうしても腹筋を想像してしまいますが・・・。
大切なのは、「肺」を上手く動かすことです。
ここで、「ランニング」や「水泳」などの有酸素運動は肺活量に大きなメリットをもたらします。
一般的に生活できる筋肉があれば腹式呼吸は必ずできるので、「肺」そのものの動きを活発化させていきましょう。

「肺活量」ではなく「息の使い方」を使いこなし、自由に歌おう!
「肺活量」は、歌唱において直接的な影響があるわけではなく、
大切なのは「声門下圧」と「声門上圧」のバランスをとることにあります。
どちらかに偏ったトレーニングは、必ず声に悪影響を与えてしまいます。
常に録音等を用い、自身の声を確かめながら取り組んでいきましょう!
より歌が上手くなりたい方は「ボーカルコース」へ!